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006. 抹茶と煎茶(緑茶)の違いとは?製法・栄養・味を管理栄養士がわかりやすく解説

「抹茶と煎茶(緑茶)は何が違うの?」
カフェやスーパーで抹茶を目にする機会が増え、このような疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。

実は、抹茶も煎茶も同じ「チャノキ」の葉から作られています。しかし、育て方や製法、飲み方が異なるため、味わいや栄養にも違いがあります。

この記事では、大学院で抹茶を研究し現在は抹茶の原料である碾茶を生産・加工・販売している現場に携わっている管理栄養士の私が、抹茶と煎茶の違いを「製法」「栄養」「味」「おすすめの選び方」の視点から解説していきます。


抹茶と煎茶(緑茶)の違いとは?【結論】

まず結論です。

抹茶と煎茶(緑茶)の最大の違いは、

「茶葉そのものを飲むか、茶葉から抽出したお茶を飲むか」

にあります。

その違いによって

  • 製法
  • 栄養
  • 味
  • 飲み方

が大きく変わります。


抹茶と緑茶の定義

お茶の種類は元をたどると「茶の木」一種類のみ。栽培や加工の方法で変わります。

抹茶とは

抹茶とは、「覆い下で栽培された生葉を揉まないで乾燥した碾茶を茶臼で挽いて微粉状に製造したもの」(公益社団法人日本茶業中央会より)とされています。茶道に用いられるのはこちらで、茶葉をそのまま丸ごと摂取する点が大きな特徴です。

抹茶については、詳しくはこちらの記事で詳しくお伝えしています。


煎茶(緑茶)とは

緑茶は不発酵茶の総称です。

緑茶として一般的に呼ばれている煎茶をはじめ、玉露やかぶせ茶、ほうじ茶なども緑茶に含まれます。実は抹茶も大きく分けると緑茶の仲間です。

煎茶は茶葉の抽出液を飲むことが、抹茶と違う点となっています。

製法の違い

抹茶と煎茶の製法の違いで大きく異なるのは、「茶葉を揉むか、揉まないか」です。

緑茶は、

①蒸す⇨②揉む⇨③乾かす の3工程でつくられます。

①蒸す

②揉む工程では、

1「粗揉(そじゅう)」:熱風を当てながら茶葉を大きく揉み、最初の水分を抜いて柔らかくする

2「揉捻(じゅうねん)」:熱を加えずに強い力で揉み、葉や茎の中の水分を均一に外へ出す

3「中揉(ちゅうじゅう)」を経て、「精揉(せいじゅう)」 の段階で針のような形に整えます。

③乾かす工程

仕上げの熱風乾燥で水分量を5%ほどに落とします。

一方で抹茶は揉む工程がなく、

蒸す⇨乾かす という2工程です。

煎茶は蒸し〜乾燥までの製造工程全体でおよそ 2〜3時間かかりますが、抹茶は蒸し〜乾燥までを約1時間で終えます。

抹茶は、緑茶を石臼で挽いてできるのではなく、抹茶特有の「碾茶(てんちゃ)」という状態の葉っぱに仕上げてから、その後石臼や機械で挽くことによりできます。

夫の家業の茶園です。抹茶を作る際は新芽が出る春先に覆いをして日光が当たらない状態にしています。

抹茶は玉露やかぶせ茶を作る時と同様、写真のような寒冷紗(かんれいしゃ/黒い化学繊維のシート)で覆う覆い下園で育てられますが、煎茶は露天園といい、新芽の生育期に覆いをせず露路で太陽の光を浴びて育てられます。

抹茶の原料の碾茶(てんちゃ)についてはこちらの記事でも解説しています。

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栄養の違い

はじめにも触れましたが、抹茶は茶葉を丸ごと摂取するため、煎茶とは摂取できる栄養の特徴が異なります。

特に水に溶けない栄養成分(不溶性)のビタミンA・Eを抹茶では丸ごと吸収できます。

一般的には栄養素の含有量の比較は100gまたは100mlあたりで記載するのですが、抹茶を100gも摂取するのは現実的ではないため、抹茶1杯あたり(80ml)と煎茶1杯(150m)として栄養成分を比較していきます。


カテキン

カテキンとはポリフェノールの一種で主にお茶の苦渋味成分です。

カテキンの健康への効果は抗酸化作用やコレステロールを下げる作用、血糖の上昇を抑える作用、肥満予防などさまざまな働きが明らかになっています。

ここで特にお伝えしたいのは、美肌効果も期待できる点です。

肌の色を黒くするのはメラニン色素の作用ですが、緑茶に含まれているカテキン(タンニン)には強い抗酸化作用により体内のメラニン色素の沈着を防ぐ働きがあります。茶道の先生に美肌の方が多いのも、抹茶を飲んで内側から色素沈着を防いでいるからなのかもしれません。

テアニン

テアニンはアミノ酸の一種で、テアニンを摂ると脳波にα波が出現しリラックス状態を示したり、カフェインの興奮作用を抑制します。

旨味成分でもあるテアニンは、茶の根で合成され、それが葉に溜まります。葉に日光が当たることでテアニンは渋味成分であるカテキンへ変化します。

そのため、煎茶は日光を浴びて育つのでテアニン⇨カテキンの合成が進む一方、被覆をする抹茶の茶葉は、カテキンへの変化が抑えられテアニンが保たれて旨味が豊富で渋みが抑えられた味となります。

私は茶道のお稽古をしていることもあり、家業の抹茶だけでなくさまざまな抹茶をいただくのですが、高級な抹茶ほど甘くまろやかな味だと感じます。これは、丁寧な被覆状態を保つことにより日光をしっかり遮っているからかなと推測していますが、詳しい調査をしたいと思っています。


カフェイン

カフェインはコーヒー豆や茶葉に含まれる天然の苦味成分です。

適量を摂取することにより覚醒作用として頭をスッキリさせる効果があったり、疲労感の軽減に役立ちます。


しかし、多量に摂取した場合、急性作用として、めまい、心拍数の増加、興奮、不安、震え、不眠、下痢、吐き気をもたらすことがあるのでカフェインが苦手な方は特に飲み過ぎには注意が必要です。

ビタミンK

ビタミンKは脂溶性のビタミンで、カルシウムを骨に定着させて丈夫な骨を作るのに役立つ栄養素です。

そのため抹茶ラテは抹茶(ビタミンKでカルシウムの吸収をサポート)&牛乳(カルシウム)で骨の健康維持や形成をサポートする心強い組み合わせだといえます。

スタバでは抹茶ティーラテの甘さ控えめその他諸々カスタマイズがお気に入り♡

味・香り・飲み方の違い

抹茶と煎茶の味や香り、飲み方の比較をしました。

抹茶煎茶
濃厚さっぱり
旨味が強い渋味とのバランス
クリーミー透明感
茶筅で点てる急須で淹れる

抹茶は薄茶・濃茶としていただくだけでなく、ミルクを加えて抹茶ラテにしたり、焼き菓子やプリンに入れても幅広く使うことができます。飲み方としては茶筅で点てると書きましたが、今は抹茶シェイカーという小さい攪拌用の容器もあります。このシェイカーがあると手軽にすぐに抹茶が点てられて便利です。

先日行った原宿にあるTHE MATCHA TOKYOで抹茶シェイカーをget!

一方の煎茶の特長は何といっても生活に馴染みやすい、飲みやすい点です。味がさっぱりしているのでごくごくとたくさん飲めます。

煎茶は急須に茶葉を直接いれる方法がイメージとして強いかもしれませんが、今は洗い物の観点からティーバックの煎茶もあり便利です。 

結局、抹茶と煎茶どちらがおすすめ?

抹茶と煎茶、どちらが優れているということはありません。

わたしの茶道仲間は、抹茶と煎茶をコーヒーで例えて、

抹茶はエスプレッソ

煎茶はドリップコーヒーみたいなイメージ

と表現してくれました。(まさに!わかりやすい例えです)

その茶道仲間は、「少量で濃く、ガツンと成分を摂取したいときには抹茶を飲んでるよ〜」と教えてくれました。

個人的には、普段の食事の際は急須で煎茶をいただき、あえてゆったりした時間を確保して心の余裕を作りたい時には抹茶が登場します。

抹茶を飲む時の高揚感と特別感が特に好きなんですよね〜。

どちらが良い、悪いということはないので気分や場面でどちらも美味しく楽しめるとより良いなと思います。

最近作った米粉抹茶丸パン 上段は仕上げに米粉がけ、下段は仕上げに抹茶をトッピング

よくある質問

抹茶は緑茶ですか?

はい。
広い意味では緑茶の一種です。同じ茶葉から作られています。


抹茶の方が健康に良いですか?

抹茶のほうが栄養素を丸ごと摂取できる特徴がありますが、飲みやすさや手軽さなどの観点も含めてどちらにも魅力があります。


カフェインはどちらが多いですか?

一杯あたりの量で比較すると、

抹茶(2gの抹茶):64mg

煎茶(150mlの浸出液):30mg

となり、抹茶は煎茶の約2倍のカフェインが含まれています。



抹茶や煎茶、毎日飲んでも大丈夫?

適量なら問題ありません。ただ、飲み過ぎるとカフェインの摂りすぎで中枢神経系が過剰に刺激されることにより、めまい、心拍数の増加、興奮、不安、震え、不眠が起こります。また、消化器管の刺激によって下痢や吐き気、嘔吐を引き起こすこともあります。飲み過ぎには注意しましょう。


まとめ

抹茶と煎茶の違い、お分かりいただけましたか。

抹茶は煎茶をただ粉末にしたのではないことをぜひ知っていただけたらなと思います。

同じ茶の木からできていても、製法が違うことで栄養素の含有量も日常生活への取り入れ方も異なることをお伝えしました。抹茶と煎茶、どちらを飲むべきとかそういうことは一切なくて、その日の気分や一緒にいただくメニューによってぜひどちらも楽しんでみてください。

“抹茶と煎茶は、もともとは同じ茶の木からできているんだけど、実は1杯あたりの成分量には違いがあるんだって。

抹茶は煎茶に比べて、カフェインが約2倍、リラックス成分として知られるテアニンも2倍近く含まれているのが特長なんだよ。“と話してみてくださいね。

これであなたも抹茶通!

参考文献

・農林水産省 緑茶 https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/1704/spe1_01.html

・京都府ホームページ テアニンについて https://www.pref.kyoto.jp/chaken/teanin.html

・農林水産省 カフェインの過剰摂取について https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/risk_analysis/priority/hazard_chem/caffeine.html

・後藤哲久ほか『化学成分から見た市販緑茶の品質』茶業研究報告, 1994, 80, p.23–28

・星野科学株式会社ホームページ よくあるご質問 http://hoshinokagaku.co.jp/theanine-sales/QA/index.html

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