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抹茶とは?歴史や特徴、抹茶の本当の魅力を管理栄養士がわかりやすく解説

「抹茶って何?」と聞かれた時、正確に説明できる人は意外と多くありません。現在抹茶が世界中で人気となり、今や抹茶は英語でgreen teaではなくmatchaで十分通じるようになっています。本記事では、「抹茶とは何か?」という基本的な定義から、日本に伝わった歴史、茶道との関係性、そして私が考える本当の抹茶の魅力を抹茶専門家の視点からお届けしていきます。

【抹茶の定義】

抹茶の定義は、「覆い下で栽培された生葉を揉まないで乾燥した碾茶を茶臼で挽いて微粉状に製造したもの」(公益社団法人日本茶業中央会より)となっています。抹茶の定義は、いろいろな見解があり、その違いは、栽培方法、摘採方法、製造方法、加工方法によって分かれています。

・栽培方法

 覆い下栽培か、露地栽培か。

・摘採方法

 手摘みか、ハサミ刈りか。

・製造方法

 揉むか、揉まないか。

・加工方法

 茶臼か、粉砕機か。

上記でいろいろな組み合わせができますが、茶業中央会では、栽培方法が「覆い下栽培」であり、製造方法が「揉まない」という2点をもって抹茶と定義づけしています。そのため、摘採方法と加工方法については抹茶の定義づけに関してはどちらでも問題ないということになります。

覆い下栽培:新芽の生育中に茶園に遮光資材をかけて一定期間日光を遮って育てる方法のこと。

覆い下栽培の様子

抹茶の作られかた

抹茶は、茶葉を乾燥して粉々にすれば良いというわけではなく、実は特別な茶葉の育て方と製造工程により作られています。

抹茶は、チャノキという木から作られます。茶畑から摘採された生葉は、約1時間で抹茶の原料となる碾茶(てんちゃ)に加工されます。(別記事:「碾茶とは?」で碾茶が作られる工程をお伝えしています)

碾茶のなかでも茎や葉脈などの硬い部分がある状態は荒茶(あらちゃ)と呼ばれます。荒茶の状態から抹茶として仕上げるために、茎(棒)や葉脈などの硬い部分を丁寧に取り除いていきます。仕立碾茶と言われる、抹茶になる状態の碾茶で、冷蔵庫などの低温除湿の状態で熟成させる期間があります。この期間はお茶によってそれぞれで、熟成させる期間を取ることで、ふくよかな香りやまろやかさを引き立てることができます。

その後、石臼で挽くか、機械で細かく粉砕することにより抹茶ができます。

抹茶の粒子の大きさは髪の毛の太さの約1/8

抹茶は緑の粉ですが、この粒の平均的な大きさは約10μm(マイクロメートル)です。1μmは、1000分の1mmで、人の髪の毛の太さは大体約80μmと言われています。抹茶の小さい粒を8個並べた長さと髪の毛の太さがほぼ同じくらいとなります。

抹茶を細かくする方法として石臼挽きと機械粉砕がありますが、それぞれで粒子の大きさが異なります。

・石臼挽きの場合:約5〜10μm

・機械粉砕の場合:約10〜20μm以上

とても小さいサイズの世界なので肉眼では違いは分かりませんが、実際抹茶として飲んでみると、舌触りや溶け方に違いがあります。石臼挽きの方が舌触りがなめらかで溶けやすいです。ただ、石臼挽きは1台の石臼で1時間に40gほどしか抹茶をすることができません。そのため、大量生産できないのが難点です。一方で機械粉砕の場合は大量生産が可能なため、目的に合わせて抹茶の挽き方を選ぶと良いです。

抹茶はいつ日本に伝わった?

抹茶と思い浮かべると、連想して、千利休を思い浮かべる方もいらっしゃると思います。

千利休が現在の茶道の形である「茶の湯」を完成させたのは確かで、その時代としては安土桃山時代なのですが、実はお茶としての歴史はもっとずっと昔で、紀元前2700年頃の中国で薬として飲まれたことがきっかけだとされています。

そして日本には、平安時代に、中国に最新の文化を学びに行った留学僧がお茶を持ち帰ってきたところから伝わったのが始まりと言われています。しかしその時はお茶がとても貴重な存在であったため、一般の人にまで広く伝わることはなかったようです。

その後、鎌倉時代になり栄西という僧侶が中国(宋)に禅宗を学び日本へ持ち帰った際、一緒に茶の種も持ち帰り、このことが日本の茶文化の大きな出発点となりました。当時、鎌倉幕府第3代将軍 源 実朝に対して栄西が献上した「喫茶養生記」という書物にはお茶は健康に良いという内容がまとめられており、これをきっかけに武士にも広くお茶文化が伝わっていきました。

その後は、南北朝時代で一般の人の生活にも馴染んでくるようになり、室町時代に入ると、武士や大名の間で中国から伝わった美術工芸品を鑑賞しながらお茶を楽しむお茶会が誕生していきます。

安土桃山時代に入りやっと千利休が登場します。

千利休により、作法や空間、おもてなしの心という精神性の全てを網羅する「茶の湯」が完成しました。

江戸時代から茶の湯は茶道と呼ばれ、明治時代になると”上に立つためには茶道を習え”と言われるほどに、茶道の考えが重んじられるようになりました。

茶道で使われる抹茶は濃茶・薄茶の2種類

茶道で使用される抹茶は、薄茶(うすちゃ)と濃茶(こいちゃ)の2種類があります。

・薄茶

濃茶と比べて値段は一般的。濃茶よりも多めのお湯を注ぎ、1人分の抹茶量も少なめ(茶杓1杯半)なので飲みやすい。薄茶は、「点てる(たてる)」と表現される。

・濃茶

苦みが弱く、うまみが強い味で、薄茶よりも高価な抹茶。おもてなしや茶事といった、新たまった場で使用。濃茶は、茶杓に抹茶山盛り3杯を1人分として、少量のお湯を注ぐ。近年では「練る(ねる)」と表現される。

私が初めて濃茶をいただいた時の感想は、”にっが!”でした。

でも、その後茶道の先生からいただいた濃茶を飲んだ時には、

”こんなに濃いのに飲みやすい!なんなら甘みもちょっと感じる!” でした。(写真はその時の様子です。茶道仲間が撮ってくれていました)

「濃茶は苦くてドロドロしていて飲みづらいもの」という私の初めの認識は、実は間違っていて、本当に美味しい濃茶は飲んだ時に上品な甘みも感じられるものなのだと体験しました。

濃く点ててもおいしいお茶が薄茶の後に成立したため、濃茶、薄茶と分けて呼ばれるようになった、という経緯があります。

そのため、練るという言葉が使われている歴史は浅く、この”練る”という言葉に影響を受けてドロドロにすることが濃茶と思っている方も多い現状があります。

濃茶は、濃く点てても美味しいお茶という点が薄茶との違いとなります。

そのため濃茶だからとドロドロに練る必要は全くないことは特にお伝えしたい点です。

<薄茶と濃茶の違い一覧>

抹茶の用途は幅広い

抹茶=茶道のイメージが強いかもしれませんが、今は抹茶ラテが世界中で人気です。

また、抹茶スイーツは老若男女問わず愛されており、5月6月の新茶の季節にはコンビニでも抹茶フェアとして美味しい期間限定の抹茶スイーツも多く見られます。

抹茶に含まれる有効成分を活用し、化粧品や石鹸、入浴剤、アロマや防臭剤など幅広く活用されています。

抹茶マイスターが思う抹茶の一番の魅力

抹茶は美味しいし、茶葉を丸ごと摂取できることから栄養を余すことなく摂取できる特長もあり日本の誇らしいスーパーフードとして有名です。もちろん、おいしさや栄養価が高いことは大きな魅力だと感じますが、私はそれよりも、長い歴史の中で関わり方が変わりながらもなお愛され続けられている歴史の重みに大きな魅力を感じます。

初めは中国でとして扱われていたお茶が、日本に伝わり、お茶の粉末を飲むことから始まったものが、娯楽として生活の一部に寄り添うようになりました。また、娯楽性の強いお茶という存在に精神性や空間、作法、茶道具を一体化して千利休により茶の湯が完成し、茶道につながり、今も日本の伝統文化として大切に継承されています。

この歴史の重さと、抹茶を作るために必要な年数の重さが抹茶の魅力につながっていると感じています。

私が茶道を始めた時に、茶道の講師の免状を持っている友人が私にかけてくれた一言が、「抹茶は宇宙」でした。

どういうことか初めは全くわかりませんでしたが、お稽古を重ねて学んでいくうちに、茶道の歴史や、飾っているお花のこと、掛け軸のこと、和室という空間のこと。茶道の空間でのそれぞれの歴史や意味が奥深く、学んでも、知っても、全然知識のゴールというか、深みの限界がないのです。

宇宙ってそういうことなんだ!と思いました。

だからこそ、抹茶を美味しい・栄養価が高いだけで終わらせず、その一歩先の魅力にまで興味を持ってくださる方が増えると嬉しいなと思っています。

まとめ

抹茶には濃茶と薄茶の2種類があり、濃茶は「練る」、薄茶は「点てる」という表現をされることが多いですが、練るという言葉は実は歴史が浅いこと、そして濃茶はドロドロに練る必要はなく、濃く点てても美味しいという部分を大切にしたほうが適しています。

抹茶の美味しい・栄養価が高いという部分だけではなく、抹茶が長い間愛されてきた歴史の重みにも思いを巡らせながら抹茶をいただいてみてください。

“抹茶って茶道の場では2種類の使われ方があって、濃茶と薄茶って言うんだって”と話してみてくださいね。

これであなたも抹茶通!

【参考文献】

・お抹茶のすべて 桑原 秀樹 p.14 「抹茶の定義」

・教養としての茶道 竹田 理絵p.86〜p.90 「茶道の歴史、中国から伝わってきたお茶は薬だった」

・森のくま半といく!お茶・コーヒー探検 共栄製茶株式会社 p.93「抹茶は細かいつぶつぶの集まり」

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